ウルトラファブリックスの決算きっかけに考えるIFRSと、のれん

ウルトラファブリックスが決算で2連続ストップ安。

 

引用:https://kabutan.jp/

 

IFRS採用

 

ウルトラファブリックスは買収した企業の純資産が小さい一方で企業価値がでかいためのれんの金額がでかかった。だからのれん償却しなくてもいいIFRS採用へ。

こういう企業や経営者は多い。まあ当然といえば当然だが。

 

ただウルトラファブリックスが想定外だったのは、のれんの金額を測定するときに、識別可能資産の範囲がIFRSと日本の会計基準とで異なる(顧客関連資産の扱い)ため、日本基準で想定していたよりも非償却となるのれんの金額が小さくなり、一方で日本の会計基準では認識しなくていい償却性資産の顧客関連資産に多くの金額に配分し、結局は費用負担するハメに。

まあ要するに思ったほどIFRS導入効果が出なかったということ。

それで計画未達になり暴落

 

 

上記の通り、のれんと無形資産が急増

一方で下記の通り計画ほど数字が伸びない。そのため暴落。

 

引用:https://kabutan.jp/

 

 

ただよく考えてほしいのは予想と現実で、企業活動自体はなんら変化がないということだ。会計基準により数字が変化しているだけ。

まあこれで株価が動くのは自然なことだが、今回はこの決算きっかけにIFRS導入について書いてみることに。

 

IFRSは本当にお得なのか、必要なのか

 

IFRS=のれんが非償却というイメージが強すぎてこういう事例が起こっている。

IFRSやのれんの会計処理について日本はどうすべきなのか、実務面を踏まえて真剣に考えないといけないと思う。

 

 

IFRSはのれん非償却だが、ただ顧客関連資産などの無形資産の扱いが日本基準と異なりこれは計上しなきゃいけないし償却もする。つまり思ったほど非償却ののれんの金額が計上できなくて、償却資産に計上するものが出る。しかも償却期間も短かったりして、結局は費用負担が結構出る。

しかも思った以上にIFRS導入費用がでかく負担があるし、親子会社の決算日の統一とか、連結の範囲とか、収益認識についての開示とか、日本の会計基準ではかからなかった手間も結構かかる。無形資産の価値測定は難しいし。

 

ただ、どの会計基準を適用しようが、企業の本質的な価値自体は変わらない。

そういう意味で利害関係者とっては、会計コストは安い方がいい。

(投資家が適切な判断をできれば会計基準はどれでも問題ないのだが。)

小型株のIFRS導入費用は、はっきりいって無駄なコストといえる。

 

のれんが大きく計上されるケース

 

のれんが大きく計上されるケースは、買収する企業の純資産に比べ企業価値がでかいとき。

具体的にいうと以下のケースのとき特にのれんがでかくなる。

  • 無形資産(商標、著作権、特許など)で企業価値が構成されているケース(ちなみにソフトバンクはアームだけで2.9兆ののれん!!)、
  • テクノロジー関係の企業(固定資産をほとんど持たない場合が多い一方で収益性が高く企業価値がでかいため)
  • 創業して間もない企業

 

 

のれんがでかいと割高で買収したイメージもあるが、それは過去の伝統的な企業のときで、今は固定資産とか全然持たずにROEとかめっちゃ高い企業が多数実在しているのが現実。

そして現在、日本企業が求めているのは同業他社というよりも、新しいテクノロジーをもった企業であり、こういった企業は買収額の大部分がのれんの金額となりやすい。

 

 

日本の会計基準を改正すべき

 

以下の理由から、のれんに関しては、もう日本の会計基準を改正するほうが一番いいと思う

  • のれんの金額でかいのが当たり前の時代に。

 

  • 買収は日本企業にとっても欠かせない戦略となり、しかも最近はテクノロジー関係の企業の台頭により巨額なのれんが計上されるのが当たり前になっている。(ソフトバンクは4.3兆のれんを計上している。どのくらいでかいかというと日本の上場企業で時価総額4.3兆超えているのは25社しかない)

 

 

  • どの会計基準を適用しようが、企業の本質的な価値は同じ。会計コストは安い方がいいし比較可能性があったほうがいい。時代に合わせた会計基準が大事

 

  • IFRS導入すると、親子会社の決算日の統一とか、連結の範囲とかで日本では実務的な配慮があるものとかも作業が増えコスト負担になる。のれん償却分節約しようとしたら、別のコストがかかって費用負担で大して得じゃなくなるみたいなパターンがある。IFRSを導入しようとしたが、断念又は保留検討中の企業は自分の知っているだけでもちらほらある。

 

ソフトバンクみたいに4.3兆のれんが計上されていれば、最低でも年間2000億円違うので導入は当然だし、IFRSなら海外投資家に株を買ってもらったり、借入や社債で資金調達もしやすいので。

ただこれも日本の会計基準を改正すればいいし、資金力の小さい中小型株が低コストで海外投資家にアピールできた方がいいに決まっている。

 

無駄なコストをできるだけ低くするような、そして時代に適した、実務の観点からの会計基準に変わればなあって思う。誰が得して誰が損をしているのかをよく考えてほしい。

 

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