【未上場】メルカリの分析

概要

時価総額1000億円規模のユニコーン企業と言われているメルカリについての分析です。

 

CtoCのメリットや優位性リユース業界のプレイヤーP/LやB/S分析(取扱高や売上などの分析)ヤフオクとの比較(取扱高8966億円)、ブックオフがメルカリに喰われはじめていることなどを分析しています。

成長シナリオ

 

  • リユース業界は成長市場
  • CtoCの優位性とメリットによる成長
  • ブックオフなどのCtoBtoCからシェアを奪うことによる成長
  • うまくいけば結果的にヤフオクからシェアを奪うことが可能

 

CtoCのメリット

消費税8%から10%へ

増税延期もあり得るが、CtoCでは基本的には消費税とられないためメルカリの手数料10%は吸収されて気にならない(まだまだ先だが、消費税は今後10%からさらに上昇は必至。人口構造から高齢者の医療費の増加と選挙で高齢者に有利な政策、財政など)

CtoCによるコスト削減

リユースの既存の流れではCtoBtoCの流れ。消費者がブックオフなどに買取ってもらい、それを違う消費者が購入する。

ブックオフなどの中間業者を省きCtoCにすると以下のコストの大部分の削減が可能。

  • 前述の消費税かからず
  • 買取コスト(商品価値測定の人件費コスト、広告費、店舗運営費)
  • 中間業者の粗利
  • 販売コスト(販売人件費コスト、広告費、店舗運営費)
  • 在庫コスト(棚卸資産の減損や在庫管理費用)

 

在庫リスクと価格決定

ブックオフのようなCtoBtoCでは前述の通り多額のコストがかかっているため、買取価格を下げて買い取っているし、さらに利益を上乗せして販売している。これは売り手、買い手にとってはデメリットであり、CtoCを選択する合理性となる。

CtoBtoCでは、買取価格が高すぎると在庫リスクとなり、安すぎると売り手は売らなくなるため絶妙な買取価格を提示すべきだが、CtoCはメルカリ、ヤフオクが在庫リスクを負わないので絶妙な買取価格決定は必要がなくコストをかけずに行われる。

リユースは多品種になりやすく在庫管理コストが高くつく。しかしメルカリは在庫をもたず、売り手が各自で在庫管理をするため圧倒的に有利。

CtoC固有のコスト

CtoC固有のコストは運送費とトラブル関連費用や運営費用と手数料(メルカリ10%、ヤフオク8.64%)。あと固有ではないが広告費も。

CtoCで削減できるコスト>CtoC固有のコスト

上式が成立するときCtoCに優位性があるといえる。特に衣料品、不要になりやすい子供向けのもの、標準物で買い手のリスクが低い本、CD、DVD、ゲームなど特定のジャンルでCtoCに優位性がある。(後述)

販路の拡大と営業時間

運送費がかかるということは販路が全国になるということ。CtoBtoCの店舗型では限られた地域の人にしか販売できなかったが販路が全国になる。

ネットなので店舗運営費がかからず、24時間オープンしているため売り手、買い手両者にメリット。

CtoBtoCのネット型

これも粗利、買取コスト、在庫関連費用が存在する。

cf.デファクトスタンダード(3545)、リネットジャパン(3556)、マーケットエンタープライズ(3135)

その他の追い風

廃棄よりリユースの流れ。モバイル化で手軽に。

粗利率

リユースの商流をCtoBtoCからCtoCにすることにより削減できるコストで大きなものの1つが粗利である。以下で示すが、誤解してほしくないのは、この粗利のほとんどが人件費コストや広告費や店舗運営費用、在庫管理コストで無くなってしまい、ほとんど利益として残らない点である。

会社名 メイン買取 メイン販路 粗利率 得意分野
買取王国 店舗 店舗 53.2 ファッション、ホビー
マーケットエンタープライズ ネット(主 ヤフオク等 45.6 いろいろ
トレジャー・ファクトリー 店舗 店舗 64.8 衣類、ファッション、電化製品
デファクトスタンダード ネット ヤフオクや自社サイト 50.7 ファッション
コメ兵 店舗 店舗 26.8 宝石,貴金属,時計,バッグ,衣類
リネットジャパン ネット ネット 72.7 本、ゲーム、メディア
ブックオフ 店舗 店舗 60 本,衣類(*FC店あり

注)ブックオフはFC店が多くあり粗利率が高くなりがち。また、ブックオフの粗利率はリユース店舗事業の数値。

粗利率はジャンルや買取方法や販路によって大きく異なるものの、一般客にとっては、買取してもらう価格と店でリユース品を購入する価格に大きな開きあることは間違いない。ただ、先ほどにも述べたが誤解してほしくないのは、この粗利のほとんどが人件費コストや広告費や店舗運営費用、在庫管理コストで無くなってしまい、ほとんど利益として残らない点である。

ジャンルにもよるが、この大きな開きによって、メルカリなどのCtoCがCtoBtoCからシェアを奪っていく可能性は高い。

ちなみに、ビジネスモデルは違うが、メルカリの粗利率は93.6%(16.6月期)詳しくはメルカリのP/L分析で。


リユース業界のプレイヤーと領域

リユース業界
リユース業界 引用:ブックオフ決算説明資料

CtoC(ネット):ヤフオクメルカリフリル、ラクマ

CtoC(リアル):フリーマーケット

CtoBtoC(ネット):デファクトスタンダード(3545)、ヤフオク(一部)、リネットジャパン(3556)、マーケットエンタープライズ(3135)、シュッピン(3179)

CtoBtoC(店舗型):ブックオフ(3313)、ハードオフ(2674)、ゲオ(2681)、トレジャーファクトリー(3093)、大黒屋(6993)、コメ兵(2780)、街の古着屋

BtoB(参考程度):USS(4732)車、オークネット(3964)車やデジタル機器

コード会社名時価総額(億)売上(億円)決算期メイン買取メイン販路粗利率得意分野
3181買取王国134917.2店舗店舗53.2ファッション、ホビー
3135マーケットエンタープライズ294816.6ネット(主ヤフオク等45.6いろいろ
3093トレジャー・ファクトリー95126単17.2店舗店舗64.8衣類、ファッション、電化製品
3545デファクトスタンダード659616.9ネットヤフオクや自社サイト50.7ファッション
2780コメ兵200401単17.3店舗店舗26.8宝石,貴金属,時計,バッグ,衣類
3179シュッピン33724917.3ネットネット*時計やカメラ*中古品比率が50%以下
3556リネットジャパン453716.9ネットネット72.7本、ゲーム、メディア
3313ブックオフ18381317.3店舗店舗60本,衣類(*FC店あり)
2681ゲオ780268017.3店舗店舗* *衣類、ゲーム(**新品,レンタル,FC店あり)
3964オークネット39119916.12BtoBBtoB***車、デジタル機器***手数料あり

注)ブックオフはFC店が多くあり粗利率が高くなりがち。また、ブックオフの粗利率はリユース店舗事業の数値。

沢山あるが、ここではメルカリの分析なので、メルカリに関連しやすい領域を中心に見ていく

偽物が存在する高級ブランド品や貴金属は買い手のリスクがでかいため、メルカリには不向き。状態の判別が必要なものも不向き。

向いているのは、衣料品、不要になりやすい子供向けのもの、標準物で買い手のリスクが低い本、CD、DVD、ゲームなど。

この領域のプレイヤーはブックオフ、ハードオフ、ゲオ、トレジャーファクトリー、街の古着屋など。

前述の通り、コストの関係からメルカリが市場を奪う可能性は高い。

実際ブックオフではすでに粗利率がでかくメルカリが得意な領域である衣料品、本、CD、DVD、ゲームなどの売上が落ちてきている(後述)

もう1つ注目すべきは、CtoBtoCの販路にヤフオクが含まれる点。後で詳しく説明するが、ヤフオク取扱高は9000億円弱あり経済産業省によるとネットオークションのCtoCは3500億円の市場規模なためCtoBtoCが多く含まれている。CtoBtoCのシェアをメルカリが奪っていけば、かつて最強だったヤフオクの市場も結果的に奪うことができる。

 

ヤフオクとの比較

ヤフオクについての詳しいデータは以下の記事を参照してください。

要点をまとめると

  • ヤフオク取扱高は直近の1年で8966億
  • 取扱高の伸びはしばらく1桁台で伸び悩んでいる
  • 概算で8966×8%=717億円が収益で、メルカリ同様ほぼ粗利
  • さらにプレミアム会員や決済、金融などと絡んで利益を得ている
  • ヤフーにとってヤフオクは広告事業と並んでドル箱
  • ヤフオクがメルカリに負けるとヤバいが現状では棲み分け説が有力
ヤフオク取扱高
ヤフオク取扱高
ヤフオク取扱高の伸び
決算期 オークション関連取扱高**(億円) 前期比
23.3 6690
24.3 6869    2.7%
25.3 6794    -1.1%
26.3 7532    10.9%
27.3 8181    8.6%
28.3 8667    5.9%
29.3 8966    3.4%

ヤフオク取扱高は9000億円弱あるが、メルカリとの比較ではCtoCの取扱高が重要である。経済産業省によるとネットオークションCtoCは3500億円の市場規模。意外と少ないし1年前すでに取扱高1200億円以上に達していたメルカリは結構いい勝負をしているのではないか。CtoBtoCのシェアをメルカリが奪っていけば、かつて最強だったヤフオクの市場も結果的に奪うことができかなりいい勝負ができるかもしれない。

ネットオークション市場
ネットオークション市場 引用:経済産業省

メルカリ、ヤフオクのどちらか一方のみが勝者となり、市場を完全に奪うことができれば、手数料を値上げすることが容易にできるようになるが、現状では勝敗は当分つかないだろうから、手数料は変わらないだろう。フリルの手数料無料もあり、値上げは無理だろう(後述)。

余談ではあるが、オークション黎明期にヤフーとDeNAが勝負して、ヤフオクが勝利しDeNAを駆逐して、ヤフーは圧倒的な強さをもとに値上げしたりと好き放題できるようになった。その最強と思われていたヤフオクがまさか、しかも手数料をヤフオク以上にとってヤフオクを脅かす存在(メルカリ)が出ようとは誰が想像したか。

PCからモバイルへの「変化」がこれをもたらした。「変化」はチャンスだ。「変化」は今でいうとIoT、AI、Fintechだろう。チャンスがたくさんありそう。

*ヤフーが開示しているオークション関連取扱高は「ヤフオク!」、「トレードカービュー」、「ブックオフオンライン」、2015年4月以降の「Yahoo!チケット」関連の取扱高です。

オークション関連取扱高**は端数処理の関係で数億ずれている可能性があります。

 

フリルやラクマとの比較

ラクマはもともと楽天で、ファブリックのフリルは楽天が買収。楽天の資本力を武器に販売手数料0円で勝負しているが、メルカリやヤフーにとっては痛い存在。CtoCは毎回決済が発生するが楽天は銀行もやっているのでシナジーもありそう。十億単位で赤字だろうが、力を入れるのも納得できる。

フリルは、ダウンロード数が9月末時点で1,000万件を突破。メルカリは国内ダウンロード数5000万なのでまだまだだが。

フリルのダウンロード数
フリルのダウンロード数 引用:ファブリックHPより

楽天の「取扱高1000億円」が見えてきたという趣旨の発言からして月70~80億円くらいはあるのかもしれないが、おそらくもっと少ないだろう。

ブックオフとの比較

ブックオフでは、粗利率がでかくメルカリが得意な領域である衣料品、本、CD、DVD、ゲームなどの売上が落ちている

ブックオフ既存店の粗利の減少
ブックオフ既存店の粗利の減少 引用:ブックオフ決算説明資料

粗利率がでかいということは、売り手から安く仕入して、利益を乗せて買い手に販売していたということであり、客はブックオフよりも高く売却又は安く購入できる可能性があるメルカリを利用するようになっていると思われる。これはブックオフに限った問題ではなくCtoBtoCには起こり得る問題である。

これはブックオフなどにとってはかなり痛い。収益源を奪われると、粗利率が低いもので固定費を賄わなければならなくなるため、悪循環になり得る。

ブックオフのデータ

時価総額180億

売上813億

FC店売上325億円

 

ブックオフのリユース取扱高
ブックオフのリユース取扱高-2017.3
ブックオフのリユース取扱高
ブックオフのリユース取扱高-2016.3
ブックオフのフランチャイズ
ブックオフのフランチャイズ

ヤフオク取扱高の推移と比べるとブックオフのリユース取扱高はちょい弱い。

フランチャイズでも減少が続くが、本格的にメルカリが力を持てばこの程度の減少では済まないはず。メルカリが得意な領域である衣料品、本、CD、DVD、ゲームなどの売上減少が継続するかや、どの程度減少していくかが注目点。

懸念材料(海外の成長鈍化やフリルの手数料無料)

アプリのアメリカDL数の推移が気になる。明らかに伸び悩んでいる。日本市場とも比較。

メルカリのダウンロード数推移(US)
メルカリのダウンロード数推移(US) 引用:https://www.slideshare.net/takayaishiguro/20170728-hrexpo
メルカリのダウンロード数推移(日本)
メルカリのダウンロード数推移(日本)引用:https://www.slideshare.net/takayaishiguro/20170728-hrexpo

 

フリルの手数料無料でどこまで追い上げがあるか、これも大きなリスク。手数料値下げ合戦にならないとは思うが警戒は必要。

新規事業のメルチャリもシナジーが薄くリスク。

メルカリP/L、B/S分析

おそらく11月頃官報で最新情報が出るはずなので、11月頃か又は上場承認されたときにより詳しく更新します。

 単位(百万円) 27.6 28.6
売上高 4237 12,256
売上原価 336 786
売上総利益 3901 11,470
 売上総利益率 92.1% 93.6%
販売費及び一般管理費 5005 8,184
営業利益 -1104 3,286
 営業利益率 -26.1% 26.8%

推定取扱高1323億円。これがどのくらい伸びるかが最大のポイントになりそう。参考:ヤフオクが3.4%の伸び

手数料収益≒ほぼ粗利

懸念は販管費。広告費も気になるが人件費コストが一番重そう。従業員数の増加がすごい勢い。2018.6月期は50億円規模だろう。運営上、いろいろな問題が起こっているため対処や対策で費用がかさんでいるはず。

従業員数
2016.2 230
2016.4 270
2016.11 350
2017.6 490

 

流動負債161億で預り金多い。次の官報でこの預り金(流動負債)比率がどう変動するかはポイント。流動資産228億円はほぼ現預金や短期債券だろう。これを低リスクで有効活用できる案があればいいのだが、保険会社みたいに。

株主資本と株主の分析は有報が出てからします。

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