メタップス決算の誤謬と業績予想の問題点

概要

10/20メタップスが決算を発表し、誤謬(会計処理の誤り)と2016/10/17に公表していた業績予想に届かなかったことを公表した。

誤謬も問題だけど、業績予想についてのほうもかなり問題がありそう。

いつの時点で業績予想未達を認識したか、あくまで推測だがここに問題がありそう。

業績予想と資金調達

1年前の2016/10/17に公表していた強気な業績予想(売上高180億円)により、当時株価は急騰し、その後高騰した株価を利用して資金調達(2017/1/26公表)をしている。

しかし今回の決算発表で売上が業績予想を約 44 億円下回り135億円となった。その主因をメタップスは以下のように説明している。

代理人取引と見做される一部取引の売上を純額計上とし、業績予想においては当該取引について総額計上としていた

 

自分が問題だと思うのは、いつの時点総額計上ではなく純額計上と認識し、業績予想を下回りそうだと認識したか、という点。

ここからはあくまで推測だが、2016/10/17に公表していた強気な業績予想売上高180億円は、10/25に買収することを発表したSmartcon社の売上高を織り込んでいた金額なのではないかと思う。Smartcon社の2015.12月期の売上高は約45億円で、業績予想を下回った額(約 44 億円)に近い。

Smartconの売上高等
Smartconの売上高等

そしてこれも推測だが、2015.12月期の売上高約45億円は総額計上されたもので、メタップスは、買収計画時点では総額計上で連結するつもりだったが実際には監査法人に指摘され純額計上しかできなかった、そしてその結果、業績予想を約 44 億円下回ったのではないか。

ではメタップスはこれをいつ認識したのだろうか?自分の推測では1Q時点ですでに認識していたのではないかと思う。

もしそうなら、下方修正もせずに、しかも強気な業績予想により急騰した株価を利用して資金調達もしているのは問題なのではないだろうか?

四半期報告書をみるとメタップスに連結上計上されているSmartcon社の売上高(累計)は1Qで0.58億円、2Qで4.66億円、3Qで6.63億円であり、4Qは有価証券報告書が提出されるまでわからないが、1年間でせいぜい10億円だろう。

6172-1Q
メタップス-1Q四半期報告書
6172-2Q
メタップス–2Q四半期報告書
6172-3Q
メタップス–3Q四半期報告書

以上から、2015.12月期の売上高約45億円はSmartcon社で総額計上されていて、メタップスが連結上計上しているSmartcon社の売上高は純額計上のものであると推測。(一応、連結間取引により内部取引を消去したため小さい金額になったとも考えられなくはないが。)

仮に以上の推測が正しいのならば、1Q決算発表時点ですでに、メタップスが連結上計上できるSmartcon社の売上高は総額計上ではなく純額計上と認識していて、しかも売上高は業績予想を下回りそうなことも認識している状態で、そのあとその株価をもとに資金調達(1/26発表)をしたのでは?と考えられる。(四半期報告書は1/16提出。)

あくまで推測にすぎないが、もっと早い段階で業績予想を下方修正すべきだったはず。売上に関しては誤謬の影響は軽微だし。

 

誤謬について

誤謬(会計処理の誤り)の件も問題がある。

誤謬は以下の3つが発表されている

  • 電子クーポン事業収益認識についての会計処理が2つ
  • 子会社(Metaps Plus社)株式を追加取得しその後一部売却した際の契約に付与された買戻条項についての会計処理

 

電子クーポン事業(Smartcon社)が発行しているクーポンが具体的にどういうクーポンかはわからないが、今まではクーポン販売時に収益認識(売上計上)していた。これは、もっとも早い収益認識。つまり、計上するのが早すぎたということ。よって販売時ではなく使用時に収益認識へと変更。すでに販売したが、まだ使用されていないものについては、今まではクーポンの期限切れでOKと考えていたが、期限切れではなく時効になってから、というふうに変更になった。

 

期限切れを時効時に変更に関しては、収益認識の期間帰属は変わってくる(期ズレする)けど、計上できる金額自体については大して変わらないだろう。

消滅時効が5年なので5年遡って、収益認識時点を変更しその結果、過去に計上した純利益のうちまだ計上してはいけなかった部分を利益剰余金減額。

連結会計では、子会社の資本(利益剰余金)によって、のれんの金額が決まるためのれんにも影響がでているというかんじ。

 

Metaps Plus社については子会社株式を追加取得しその後一部売却していて通常は、連結修正仕訳で計上される勘定科目は資本剰余金なのだが、買戻条項開示)によりそれを負債に計上へと修正。

当時の譲渡価額は$5mだったのだが、負債を5.57億計上するってことは、買戻条項は売却株式全てについてなのでは?と思わせる金額。重要な情報ではないか?しかもそれを12/26発表時に公表していないのはちょっと姿勢として問題がありそう。

売却相手も海外ファンドで非開示、しかも買戻条項ありでそれも非開示

譲渡株式は推定で4.83%分で$5m。つまり子会社の価値は全体で海外ファンドに100億円以上の評価されたってこと。でも評価した海外ファンドはどこかはわからないが。

 

本件は連結子会社株式の追加取得および一部譲渡であり、株式譲渡後も引き続き同社が当社連結子会社であることを踏まえ、開示事項・内容の一部を省略して開示しております。

譲渡の相手先は海外投資ファンドでありますが、相手先の意向により、概要については非開示とさせていただきます。

連結子会社株式の一部譲渡に伴う譲渡益(特別利益)計上に関するお知らせ (平成 28 年 12 月 26 日)より引用

 

 

まとめ

業績予想については4Qではなくもっと早い段階で下方修正すべきだった。3Qまでで売上100億だから、少なくとも3Q末時点で通期の180億には未達だろうと分かっていたはず。新規事業や既存事業でなんとかなると考えていたのか?さすがにそれは甘すぎるだろう。

 

強気な業績予想発表時にまだ買収していない企業(Smartcon社)の売上を予想にいれ(←自分の推測部分を含んでいるが)、その後買収したが、売上計上が総額ではなく純額計上しかできなくて、強気な業績予想で上昇した株価を利用して資金調達をしたけど、結果、売上が業績予想を下回る着地になりそうです、というのは確かに開示しにくいけど。

 

誤謬については少し同情の余地はある。おそらく四半期レビューでは監査法人に何も言われていなくてOKと思っていたのでは?しかし年度監査ではしっかり調べられて、指摘されたのだろう。

 

ただ問題は開示姿勢だ。業績予想についての開示も、買戻条項の非開示についても、誠実とはいえない。

 

 

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